祝賀の手紙の書き方について

祝賀の手紙というのは人生のいろいろなよろこびについて、先方の喜びを共に喜んで書き送る手紙である。そのよろこびごとにどんなものがあるか。先ず結婚祝、出産祝、誕生祝、入学祝というように数えてくると、それから卒業、就職、栄転、賀寿、病気全快、退院祝から新築、開店、開業、それに当選祝まで、まだまだ人生の慶事はもっともっとあるかも知れない。こうした祝賀の手紙は理よりも情を尊び、心から喜び合う気持があふれ出ていなければならない。人間、とかく人の悲しみは共に悲しむことが出来ても、喜びを共にするということはむずかしく、嫉妬したり羨ましがったりするもので、だから祝賀の手紙を書くにしても義理一遍の古くさいきまり文句を羅列したものや、いたずらにお世辞の多い形式的なものになったり、こんなのは全く禁物である。そして新時代には新時代にふさわしい感覚を取入れたものを工夫して書きたいものである。

一、祝賀の手紙の形式は普通の手紙と同じように「頭語」拝啓、謹啓などから始まり、それから時候の挨拶などを書き、次に本文を、終ったら末文「先ずは御祝詞まで」などと書いて最後の「結語」― 敬具、謹言というように正式な形をとるのがよい。

二、祝賀の手紙といっても先に述べたようにいろいろな種類があるが、それぞれ特別な用語もあり、特に「忌み言葉」(使ってはいけない言葉)があるから注意しなければならない。

三、結婚祝を書く場合、「めでたい」とかなで書くのもいいが、めでは妻出(めで)に音が通じるので「愛で度い」とした方がいいという考え方もあるようだが、こんなことにこだわる必要はあるまい。また結婚は一生に一度のこととされているので、「今度」という語は用いずその代りに「承れば(うけたまわれば)」とする。

四、婚礼の席上でも同じことだが、「忌み言葉」としてこんなのがある。避けた方がよろしい。― 去る、離れる、もどる、冷える、さめる、退く、浅い、薄い、あく、切れる、且又(かつまた)、なお、まさに、追って、重ね重ね、返えす返えす。

五、出産祝の場合。産児にまだ名前をつけてない時は「御生子(こしょうし)」「御茗子(ごめいし)」「御和子(おんわこ)」といい、母と子とを併せて呼ぶ時は「御二方(おふたかた)」。生れたことは「御出世」「御出産」「御降誕(ごこうたん)」「御生誕(ごせいたん)」等の言葉がいい。忌み言葉 ― 死、早し、あわれ。

六、入学祝いの場合、相手が年少者だからお祝いの言葉と共に、何か訓戒めいた言葉を送ることも考えた方がよい。

七、全快祝いの手紙の末には必ず「おあと大切に」という意味の言葉をつけること。

八、新築祝いには煙、火、焼く、燃える等の言葉を避けること。

九、開店開業の祝い状には必ず「御繁昌」とか「成功疑いなし」などという言葉を用いる。

十、祝賀の手紙のどんな種類のものにも用いていけない禁句 ― 乱る、苦しむ、朽ちる、哀れ、愁い枯れる。

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