第14章 紹介の手紙

紹介の手紙の書き方について

 紹介は自分の知人などに第三者を引合せることで、その場合に用いるのがここにいうところの紹介の手紙であるが、そうした手紙を書く前に考えて見なければならないことがある。その第一は、自分には人を紹介するだけの信用があるかどうかということである。

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「なんだあんな男の紹介でやって来たのか、どうせロクなものではなかろう」とあっさり片づけられてしまったとするなら、折角の紹介手紙も役に立たないし、また紹介される人物も軽く見られてしまう。これは世間によくあることで、先方ではあまりよく知らないのに、こちらはとても懇意にしているようなことをいい、紹介なども気軽に、いともやすやすとやってのける。だがその紹介は一向に役に立たないということになる。

 第二に考えて見る必要のあることは、紹介しようとする人の人物を考えて、この人を紹介してよいかどうかということである。先方も相当有力な人、こちらも幸い或る程度信用されているとしてさていかがわしい人物などを紹介すると、その紹介にも拘らず先方が取り合ってくれない場合はまあいいとして、折角の紹介だからといって、そのために何かをしてくれたとなると、「君の紹介だから、まさかそんなことをする人だとは思わなかった」というようなことで、後日になって必ず何かまずいことが出てくるのは必定で、そのため先方には迷惑をかける、こちらも傷つけなくていいのに信用を落すということになる。

 第三に考えて見なければならないことは、紹介先と自分との関係である。即ち先方は目上か、同輩か、それとも目下かということだが、この何れの場合でも、紹介することによって先方に迷惑をかけはしないかということである。玄関先にあらわれるセールスの類ならあっさり片づけられるが、知人の紹介状を持って来れば、そう玄関先の応待というわけには参らず、また世の中にはイエスとノーを、はっきりいう人ばかりはなく、そのために結果に於いて、何分かの迷惑をかけるという場合もあるので、この辺よくよく考えて見なげればならない。

 以上の簡単な説明でもわかると思うが、紹介の手紙が役に立った場合は、紹介者即ちこの手紙を書いた大には大なり小なり責任が生じたということを考えなければならない。勿論「推薦」とか「保証」とかというのとは違い、そんなに重大な責任があるわけではないが、それにしても軽率に紹介しては双方に迷惑をこうむる場合があるから、よくよく注意した方がいいでしょう。

一、紹介の手紙にはその人の名、身分、学歴、職業、自分との関係の外、どういう用件で訪問するかということまで、はっきり書いて置く方が、あとで間違いが起らなくてよろしい。

二、紹介の手紙は紹介される本人に開き封のまま渡すなり、或は内容を読んできかせるなりしてから封を閉じるのが礼とされている。本人に対しては敬称をつけない方が正しいのであるが、現在では一般に敬称をつけているらしいから、これに倣ってもよい。

では一般に敬称をつけているらしいから、これに倣ってもよい。

三、紹介の手紙には日附は書かないのが習慣である。

四、封筒の左下に何某持参(目下の時)何某君持参(同輩の時)何某氏御持参(目上の時)などと記す。

五、紹介の手紙の代りに、簡単に名刺に書いて渡すことがある。こういう場合には、単に「御引見下されたい」と書くのが通り文句である。念のため自分の捺印をするのが通例で、この名刺を封筒に入れると丁寧になる。

六、紹介された本人は、なるべく早くその紹介の手紙をもって先方を訪ねること、そしてその結果をなるべく早く紹介してくれた人に報告する、これが常識である。

七、紹介の手紙というものは、紹介された本人の第一印象も大切だが、紹介した人(紹介の手紙を書いた人)の地位や勢力如何によって、就職ならば割合に好遇されるし、依頼ごとなら何かと便宜をはかってくれるものである。だからといって自分よりも地位の下の人、或は昔の部下や教え子に対しても、決して押しつけがましい態度を示してはならない。

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