勤誘の手紙の書き方について

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わかりやすくいうなら、物ごとを人に勧めるための手紙のことである。これにもやはりいろいろな種類がある。新たに一つの事業をはじめようとして相手をその仲間に入れようとする場合、相手を一つの団体などに入会させようとする場合、また社交的な行楽や物見遊山に人を誘う場合、その他いろんな場合がある訳で、従って一口に勧誘の手紙といってもいろいろな書き方があるのだが、根本間題として考えられることは、勧誘という以上、どんな場合でも相手がその勧誘に乗ってくることが望ましい。そういう結果を見るような手紙が勧誘の手紙としては上手なわけである。

 そこで勧誘の手紙の要件としては、あくまでも同意させずにはおかないという熱意がこもっているということが最も肝要なことである。それも無理やりにそうさせるのではなく、上手な話の運び方によって、なるほどと思わず相手を合点させる、そういう調子である。こちらの気持が先方の胸にぴったり触れるといったような条理をつくした言い廻し方、そしてわかりいい、しかも丁寧な説明の仕方が工夫されなければならない。

 どうも話の様子では自分にとって有利であるらしいから承諾しようというような気持を起させるとか、これは面白そうだから是非同遊を試みたいとか、そういうように運んでゆくのが勧誘の手紙のねらいである。

一、事業上の勧誘、たとえば一緒に会社を創立しようではないかとか、独立開業してはどうかなど、そういう勧誘の手紙を書く場合には、相手の精神的な動きをたくみにとらえることが大切である。満足に勤めている人に、いかに上手に勧めたからといって、先ず効果はない。いい機会があったら新規事業をやって見たいとか、独立したいと考えている人なら、こちらの勧誘に乗ってくること必定で、要は相手の心理をつかむことである。むろん、その勧めが正しいこと、有利なことをはっきり書かなければならない。

二、寄付金の勧誘などもよくあることだが、さて金銭のこととなると、相手はなかなか動いてくれない、しかも下手をすると相手の感情を害したり、誤解を招き易いものであるから、これらの点に注意しなければならない。即ち受取った人に、なるほどとうなずかせるには、余程上手に、筋の通ったものにしなければならない。あまりくだくだしいのはよくない。

三、旅行、遠足、散歩、物見、演劇見物、その他催しものなどに誘う場合は、相手の気質に応じて書き、いかにも楽しく興趣ふかく、そぞろに心が動き出すという位に、誘うこちらの気持が手紙の中に動いている、そういうところがねらいである。

四、勧誘の手紙をもらった場合には、当方の事情を述べて、同意か否かを明瞭に答えるべきである。そして断る場合には円滑に先方の感情を害さないように書かなければならない。家の事情がわるいとか、その器でないとか、あたり障りない理由を書くがよい。

五、寄付金の勧誘などは、その性質の如何によっては、あっさり拒絶すると相手の感情を害したり、時には人非人のように思われることがないとも限らない。額の多寡に拘らずそれに応ずるならば問題はないが、どうしても応じられない時は、よく当方の事情を先方に理解してもらうように書くことである。

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