その他の依頼

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書籍の借用を頼む

 ご無沙汰に打過ぎておりますが、お元気の御様子、何よりと存じます。本日友人より私か長く探しておりましたデイッケンズの「アメリカ紀行」を貴女がお持ちだと伺いました。貴重な本で、たいへん恐縮に存じますが、一両日拝借できませんでしょうか。もしお許し頂けますなら、使の者を差出します。

門外不出とのことでございますれば、私か参上いたし、拝見させて頂きたいのでございます。勝手なお願いでございますが、悪しからず。

一週間ほど拝借(書籍を)

 前略 突然のお願いですが、河田幸康著「私達の社会」をお持ちでしょうか。実は少々調べたいことかおりまして、昨日も五六ヵ所の書店を探しましたが、どこにも見当らず困っています。もっとも図書館にはあると思い立すが、御承知のようにそこでは落ついて調べるわけにもまいりませんので若しお持ちでしたら御拝借願いたいと存じまして、申し出でました次第です。期日は一週間程あれば結構です。よろしくお願い申し上げます。草々

ご遠慮なくお使い(上の返事)

 御申越しの書籍は幸い持合わせていますから、御遠慮なくお使い下さい。小生不在でもわかるようにしておきますから、御序での際御立寄り下さい。先は右御返事まで。匆々

身元保証人を依頼する

 拝啓 秋涼快適の折柄、皆々様御揃い御健祥の段大慶の至に存じ上げます。さて私の就職の件については身に余る愛情を以ていろいろ御配慮頂き、取敢えず前便御礼申し上げました通り株式会社××商会販売部員として来月一陣から出勤することと決定いたしました。

偏に御尽力の賜でありまして、感謝は筆紙に尽くしません。粉骨砕身、各方面に信用を得て御紹介を汚さぬように働く覚悟でございます。

 就きましては入社契約書を提出しますについて確実な身元保証人を要します由、重ねて御厚意にすがりまして恐縮至極でございますが、東京では他に親戚知人の家もなく、尊台に御願いいたしますより外に手立てはないのでございます。もちろん御迷惑を及ぼしますような行動はいたしませぬ。何とぞ御清諾賜わりますよう御願い申し上げます。

 多少の準備を整えまして来る十八日上京、直ちに会社の寮に入ることになっておりますので、御礼かたがた参上改めて御願い申し上げますが、書中失礼ながら前以て御願いいたします次第でございます。

 時節柄御自愛専一に御祈り申し上げます。敬具

弟の身元保証を頼む

 随分御無沙汰致しましたがお変りもないことと存じ上げます。私方は一同元気で暮しておりますから御安心下さい。

 さて用事のあるときばかり勝手なお願い申し上げて甚だ申訳ありませんが、実は弟の裕司がこの度御地のXX大学へ入学することになりまして、近々出発の予定でございます。
就いては甚だ御面倒な御頼みですけれども、保証人の件お願い出来ませんでしょうか、御地には他に知人もないものですから、御迷惑ながら貴殿にお願い申し上げとう存じます。
幸いに御承引下さいますれば、誠に有がたき仕合せに存じます。もっとも本人には御迷惑をおかけしないようによく申し聞かせておきました。何れ入学後本人がお伺いすることになっていますので委細御聴取り下さいませ。先は取敢えず右御願い申し上げます。敬具

いと易いことですから(上の返事)

 拝復 御手紙拝見致しました。御舎弟様にはこの度大学へ御入学の由にて近々御上京の趣、誠におめでたく存じます。

 さて御申越の身元保証の件、小生にてお役に立つことでしたら、いと易いことですから、右の書類御届け下さいますれば、すぐ署名捺印の上御返送申し上げます。先は右御返事まで。草々

手伝いを依頼する(婦人用)

 気持よい季節になりました。張りきって御通学のことでしょうね。今日はあなたにおねがいがありますのよ。こんどの日曜日に私のところで大掃除をするのです。それで、元気者のあなたにぜひ手をかしていただきたいのですが、いかがでしょうか? 朝八時頃からはじめて午後は早く終り、夜はゆっくりみんなでトランプでもしてあそびたいと思いますから、泊りがけのつもりでお出かけ下さい。おさしつかえの折はおしらせ下さいませ。

草刈の手伝いを頼む

 拝啓 毎田お忙しいことと拝察いたします。当方こと、折悪しく父が両三日前から風邪気味で伏せっており、そうでなくとも手不足のところ、まことに困却いたしております。このような仕儀にございますが、いかがでしょうか、そちらでどなたか一人あるいは二人ならなお結構ですがお手伝いお願いできないでしょうか。

その代り田植の節には、こちらは水順により早く済みますので、その時は早目にそちらへ誰か向けたいと存じております。

 御都合をも考えず、勝手な申条、万々お気持を悪くなさいませぬよう、御無理でなければ何とぞ御高配の上、折返しの御返事ひとえにお待ち申しあげます。頓首

嫁ぐ日のための手伝いを(婦人用)

 突然ながら御願い申し上げます。和子の嫁入りもいよいよ来る二十九日と決定しました。かねて出入りの御懇意の方にお手助けを頼む手筈に致しておきましたところ、にわかに差支が出来たそうで、余日もない今日当惑致しました。就きましては御用の多い折に誠に恐縮でございますが、若し御都合がおつきのようでしたら、初子様を御貸し下さることは出来ますまいか。

若し御聞き届け下さいますなら、二十八日夕景から御越し願いとう存じます。御懇情に任せて御無理なお願い申し上げてすみませんが、何卒悪しからず思召し下さいませ。かしこ

御指示の時刻までに(上の返事)

 和子様御與入れの御日取も確定いたしました趣(おもむき)、誠におめでとう存じます。
 御申越の件かしこまりました。何のお役にも立ちますまいが、御指示の時刻までには相違なく遣わしますから、よろしくお指図下さいませ。先は取り急ぎ御返事のみ申し上げます。草々

一人旅の子供を頼む

 拝啓 久しい御無沙汰となりまして申訳ございません。皆様御元気に御過ごしのこととお喜び申し上げます。

 さて修こと、夏休を利用して関西方面見学のため行きたいといいますので、試みに手離してみることにしました。御地にも参る筈、拝訪の節は、暑さの折柄恐縮ながら一二泊御配慮のほど御願い申し上げます。

本人修業のための一人旅ですから、何とぞ御構い下さいませんように。大阪城一見と桃山御陵参拝は申しつけてありますゆえ、それを含んで日程等御示教(ごじきょう)下さいますれば幸甚の至です。

 右御依頼のみであります。奥様にもよろしくお伝え願います。敬具

御来阪を楽しみにして(上の返事)

 拝復 御手紙拝見致しました。大暑の折柄皆々様御清勝との御事大慶に存じます。小生方も一同無事でおります。何卒御放念下さい。修様御来阪の趣(おもむき)誠にうれしく鶴首お待ちしております。

独立でとの御趣旨を尊重してお話申し上げますから何卒御安心願い上げます。丁度子供は避暑に行って居り、荊妻と女中の三人ですから、ゆっくり御滞在を願います。とにかく御来阪を楽しみにしております。いろいろ御近況もお聞き出来ますから。

 右とりあえず御返事申し上げます。敬具

本を探して下さい

 夏は暑いものとは知りながら、これではほんとうにやり切れません。田舎にいてこの悲鳴です。さぞや東京はお暑いことでしょう。御障りもありませんか。実は僕も仕事の方が一きまりつきましたので、この暇に石川啄木の歌境をゆっくり味読して天才歌人を追慕したいと思って、啄木全集の内第三巻を探しましたが、田舎ではとうてい手には入りそうもありません。で、御手数かけてすみませんが貴兄に東京で買って頂きたいのです。勿論値段もわかりませんので、取りあえず二千円だけ送金申し上げます。

御忙しい処を勝手な御願いで申訳ありませんが、夕凉みがてら古本でもお漁りに御出かけの節探して頂きとうございます。先は右御願まで。敬具

少し暇取るかも知れないが(上の返事)

苦熱の夏とはよく言ったものですね、でもお元気で結構です。僕もお蔭ですこぶる頑健です。御手紙によれば兄にはこの暑さにもめげず、御勉強とのこと、感嘆の外ありません。
 さて御申越の啄木全集の第三巻、早速探して見ましょう。しかし探すときにはどうもないものですから、少し暇取るかも知れませんが、外の頼まれごとと違い本のことですから、決して疎略には致しません。きっと見付けて差上げます。尚御送附の代金二千円也は確かに受取りましたから御安心下さい。

 先は右まで、酷暑の折柄折角御自愛祈り上げます。草々

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