年賀の手紙の書き方について

年賀の手紙すなわち年賀状については廃止論も存続論もあり、ここ数年来やかましい議論もあるようだが、年賀状は用い方によって虚礼ともなれば有意義なものともなる。新らしい年を迎えて身も心も新らしくなったその始めにあたって、年頭の挨拶、殊にはこれが一年一度の挨拶であったり、今まで御無沙汰をしていた先方に一枚の年賀状で義理が立ったり、そのために却って旧交を温めることにさえなる場合もある。こうなると年賀状の効用はたいしたものである。とにかく形式一遍の虚礼に流れず、たとえ一本の年賀状でも真情を吐露して書けば、極めて意義あるものとなる。

一、年内の忙しい時に書くにしても、気持を落ちつけて、お正月らしいゆったりした初春の明るい朗かな気分で書くように努めること。

二、年賀状には前文「頭語」の「拝啓」「謹啓」などは省くこと。

三、年賀状には封書、葉書、名刺の三種類あるが相手が目上の大とか又は発信人が会社事業経営者などの場合にはなるべく封書にしたい。葉書は最も一般に広く用いられているがこれには前文、末文などを略して簡単に新年の賀詞だけを書いてもよし、又その人の趣味や工夫によって図を入れたり判を押したりするのも面白い。名刺は小さい封筒に入れて送ることが流行しているようだ。

四、気の利いたものとして(1)芋版、木版をあしらったもの(2)その年の勅題(ちょくだい)、干支、または新年に因んだ絵を入れたもの(3)自作の詩、歌、俳旬を人れたもの(4)活字の大小、宋朝、明朝、清朝字体の配置などを工夫したもの(5)文字や絵の刷色に工夫をしたもの(6)用紙の色を変えて目立たしたもの(7)家族の写真を入れたり名を連ねたりしたもの(8)感想を入れたものなどがある。

五、葉書の文面としては賀詞と日附と、住所姓名とを書く。全部筆で書き特に目上のものに対しては墨の色は濃く文字は肉太に書くこと。全部を印刷にしても構わないようなものだが自分の姓名だけは自筆で書入れられるようにするとよい。

六、日附は「一月一日」だけでは今年の賀状という感じが薄いので年号令干支をはっきり入れるのがいい。

昭和XX年一月一日、昭和XX年元旦、昭和XX年一月吉辰(きちしん)、昭和三十二年丁酉元旦、「元旦」は「一月一日朝」の意であるから「一月元旦」「正月元旦」と書くのは誤りである。

七、年賀状は遅くも正月三日ぐらいまでには出したい。松がとれてから「謹賀新年一月一日」では間かぬけている。賀状を出し遅れた場合には正直におくれて出した日付けをかくこと。

八、喪中の人は年賀の廻礼も年賀状も遠慮してそのかわりに挨拶状を出すこと。その返事には矢張り年賀状のかわりに挨拶状を出す。

九、両親への年賀状はこちらの正月の様子などこまごまと、うやまううちにも親しみをあらわすようにかく。

十、親しい間柄や友人には無味乾燥なきまり文句よりは、情味親味のある言葉で書き、お互に新年を祝い、将来を祝福する気持をあらわすがよい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする