一、結婚祝

令息の結婚を祝う

承りますと御令息様には湯川家の御令嬢雅子様と御婚儀が整わせられて来る十八日めでたく華燭の典をお挙げなさるとのこと大慶至極でございます。雅子様は才色兼備の方と仄聞(そくぶん…他に聞くこと)いたして居りますので、○○大学御出身の秀才として誉れ高き新太郎様とはうってつけの御夫婦と存じます。和平の年の御喜び御尊家様の御繁栄を心からお祝い申し上げます。つきまして別封の粗品まことにぶしつけではございますが、御祝いの御しるしまでに御贈呈申し上げます。御受納下さいますなら幸甚に存じます。右取あえず御祝詞まで申述べます。敬具

令嬢の結婚を祝う

承りますれば御愛嬢春子様には山田家の御令息順一様と御婚約が整わせられ来る八日めでたく華燭の典をお挙げになります由お喜びに堪えません。順一様は○大出の俊才として誉れ高く御人柄も勝れた方と、かねがね私も仄聞(そくぶん)して居りましたが春子様は平素御庭訓(ごていきん、家庭教育のこと)の御行届きなされた上に○○学院高等科出身の才媛、まことに御似合いの御夫婦と存じ上げまして御家門の弥栄(いやさか…繁栄)を心から御祝福申し上げます。この品まことに粗品でございますが、御祝儀の御印しまでに御贈り申し上げました。御納め下さいますれば幸甚に存じます。先は右取あえず御祝詞まで申述べます。

娘の結婚を祝われての返事

新緑の候御一家様ますます御健勝の由お喜び申し上げます。此度春子の結婚につきましては早速御鄭重なる御祝詞並びに結構なる御祝のお品まで頂戴いたしましてまことに恐縮に存じます。

実は後一、二年は家事の手伝いもさせたいと思っていましたが、佐竹様のお勧めありそれに機会をはずしましてはと思いまして急に嫁がせることになりましたので、何の用意もなく且つは時節柄皆様にも御迷惑にならぬようにと、万事緊縮を旨としまして婚儀もほんの内輪にてお茶の会程度に、手軽にすましましたのでございます。いずれ近日中お邪魔に上りまして親しく御挨拶申上げる心組(こころぐみ)でございますが、取敢ず右御礼まで申し上げます。

花嫁へ友人から(婦人用)

花子様、おめでとうございます。あなたの花嫁姿を想像するにつけても、女学校時代のなつかしさが想い出されてなりません。りりしくあでやかな貴女のお姿、どうぞして御立派な方と御結びつき一目も早がれと祈って居りましたところ、その甲斐あって今日のお便り、いつぞやお話の茂雄様と仰言る方のこと、御両親様始め、皆々様もどんなにかお喜びのことでございましょう。あなた方お二人の新生涯は必ず希望に満ちた輝かしいものになると信じております。御嘉辰(ごかしん)の日(…結婚式の日取り)がおきまりになりましたら一刻も早くお知らせ下さいませ。同封の写真は、女学校時代にいつか二人で写した青春の記念品です。あなたは戦災でお焼きになってしまったと申しておりましたもの ― 想い出のためにお納め下さいませ。先ずは取りあえずお祝いまで。かしこ。

新郎へ先輩から

拝啓 承れば御良縁を以て山田和子様と御結婚の趣(おもむき)御通知に接し大慶至極(たいけいしごく)に存じます。琴瑟相和(きんしつそうわ … 琴は『こと』、瑟も同じような楽器、二つの楽器がよく合うように夫婦仲のよいこと)幾久しい御家門繁栄の根ざしを固められ、殊には御孝養の上に一段の内助を得られましたこと、あなたの御満足は素より、御両親様にもどんなにか御安心の御ことと千万御歓び申し上げます。末広一対、真綿一組、御祝のしるしまでに専使に持たせました。何とぞ御祝納願います。御披露の席上万々御挨拶申し述べますが、とりあえず書中を以って心からの御祝詞を呈します。敬具。

新郎から先輩へ返事

拝復 朝夕の薄冷まことに心地よい時候となりました。先生には御清健一段の御事と御喜び申し上げます。

さて私どもの結婚について、御懇ろな御祝詞を頂きまして恐縮の至でございました。その上御心入れの御祝品をわざわざ御専使を以て御恵与下さいまして、御礼の申し上げようもございません。永く記念として身に体し、御高恩を感謝しつづけるつもりでございます。人生の小学一年生として出発いたします私どもに対し、この上ながら特別の御指導、御援助を賜わりますよう、一同より御願い申し上げます。

心ばかりの小宴に御光来賜わりますこと、御多忙の先生に申訳のない儀でございますが、深い感激を以てお待ちいたします。拝面の節万々ながらここ感謝に余る心を以て御挨拶申し上げます。敬具。

新郎の両親へ(婦人用)

拝啓 本日は誠にお喜ばしいおたよりを戴きまして、うち中が嬉しさに湧くようでございます。誠にお愛でとう存じます。英一様は大学も御立派な御成績で御卒業、直ぐに有力な会社に御就職、それに続いての御良縁、誠に三拍子揃った御慶事でございます。御両親様もどんなにか御安神で入らっしやいましょう。

御家庭もお賑やかに、華やかに、伊藤家の万歳の根ざしを固められましたこと、お喜びの言葉もございません。御式の日には父母のみか私までお招きに預かりまして、何とも恐れ入りました。参上致しまして親しく御祝詞を申し述べます。委しくは父からの手紙にございますので、私はただ嬉しさの心の端のみに止めました。英一様にも宜しくお伝え下さいませ。かしこ。

養子縁組を祝う

拝啓 愈(いよいよ)御多祥の段大慶に存じ上げます。

承り(うけたまわり)ますれば静子様には石川家の御令息文夫様との間に御養子縁組の御婚約整わせられ、この程盛大な華燭の典を挙げさせられました由、何よりもめでたく御一同様の御悦びさこそと存じ上げます。新御夫婦には新生涯に入らせられましたこのおめでたき門出を機縁として今後ますます御奮闘あそばされ行末の幸多からんことを切に祈り上げます。先は取敢えず御祝いまで申し上げます。謹言。

結婚祝の類句

結婚祝を書く場合

(1)
○春風ようやく暖かく近く桜も咲き初めようという此(この)好季節に
○かねてお噂承わっておりましたXX様との御良縁相ととのいました由
○承わりますれば××様にはかねてお話のXX家との御良縁御ととのい遊ばされました由○御令息様には御良縁を得させられ
○この度は御めでたく御良縁を得させられ
○おめでとういよいよ決ったのですってね
○近々お輿入れの由心からうれしくお祝い申し上げます。

(2)
○この上もない御良縁と
○お知合い同志の御縁組とて
○新郎新婦まことに好配偶
○御一門の御栄え寿(ことは)ぎ奉ります
○春子様にはお似合いの御好偶にて、御一統様の御満足もさこそと
○松の緑のよろず代かけてお祝い申し上げます
○玉椿の八千代かけて
○新しき首途(かどで)を幾千代かけて
○謹んでお祝い申しあげ、末長く幾千代の御ちぎりをお祈りいたします
○御両親様もどんなにかお喜びでございましょう
○謹んで幾干代かけて鶴亀お祝い申しあげます
○あなたの御理想の御方と深くお喜び申しあげます
○将来永く春秋に栄えられるばかりとかたく信じます
○華燭の盛典芽出たく取行わせられ

(3)
○永遠に豊かなれと切に祈りあげます
○末長く偕老の契をお重ね下さるよう祈りあげます
○まことにお芽出たく謹んでお喜び申しあげます
○何かお祝いをと存じ心ばかりの品別便にてお送りいたしました
○まことに軽微(粗末な品)なれどお祝いのしるしまでにお納め下さい
○お祝いのしるしとて粗末な反物一反お目にかけます
○お祝いのしるしに清酒一樽差上げ宜したからお納め下さい
〇書余は参邸の上祝詞申しあげます

結婚祝の返事を書く場合

(1)
○早速御懇篤なる御祝詞いただきまして
○昨日はわざわざ御使いにて娘結婚について御てい重なる御祝詞並に結構なる御品を拝し○お言葉並に過分の御祝儀をちょうだいしまして
○御芳志(ほうし)有難く感謝いたします

(2)
○いずれ改めて御礼に参上仕りたく存じますが取敢えず書中にて失礼いたします
○幸便に托し右御案内申しあげます
○老いた父母を安心させる事を心掛けたいと念じ
○御存じの青二才まだ一家を営む鉗格はないのですが思い切って踏切りをつけました
○行末長くお引立て下さいますようお願いいたします
○まだ前途遼遠(りょうえん)の身にございますれば今後とも何とぞよろしく
○御教訓を体し一家の主人としての責任を果したいと存じます

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