二、出産祝

男子出産の祝

慶吉君

赤ちゃんが生れたとのこと、しかも堂々と男児の由、万々歳。今、直太郎君も来て心から君のために祝福し合っているところです。

家庭を持たれてから五年「子供が欲しい欲しい」といい暮らしていた君の相好を崩している様子が隕に見えるようです。

堅実、真摯、不言実行を信条として来られた君は、赤ちゃんの誕生によって一層確乎とした処世上の信念を得られたことでしょう。そして赤ちゃんの成長と相俟って、喜びに充ち充ちた君の活動は、一しお仕事の上によい実を結び、御一家の繁栄はいや増すばかりと思います。もう四、五日もすれば野良の方もおうよそ片づきますから、そしたら、すぐ、なにをおいても飛んでゆきます。それまでをこの手紙を使者として、とりあえずお祝いを申し述べます。

奥さんによろしく。おあと御大切に祈ります。頓首(とんしゅ)

男児安産を祝う(婦人用)

拝啓  今日か明日かと久しくお待ちしておりましたところ、一昨昨夜無事御安産、殊に男のお子様の由、誠に御めでたく山々(やまやま)御喜び申し上げます。どんなにお可愛いことでしょう。叔父様にそっくりの赤ちゃんだと鶴子様のお手紙にございました。叔父様がさぞ一層お鼻を高くしていらっしゃることとお噂(うわさ)いたしました。母からもくれぐれお喜びを申し上げるようにと申しつかりました。二、三日中に母がお伺いいたしますが、お祝いのしるしまでに取敢えずフランネル一丈ばかりお送りいたしましたからお納め下さいませ。いろいろとお祝品の多いところへ似たような品もいかがかとわざとネルにいたしました。おむつにでもお使い下さいますようと母からの伝言でございます。この日曜日、もし許しが出ましたらわたくしもお祝いにまいりたいと存じます。先ずはお喜びの御挨拶まで。かしこ

男児出産を祝う

御安産のお知らせ只今拝見いたしました。御希望の男のお子さんの由、おめでとうございます。御初産でいらっしやることとて何かと陰ながら御心配申し上げておりましたが、御母子とも至ってお肥立よきお知らせにホッと安堵いたしました。

賢堂は申すまでもなく、皆々様の御喜びさこそと御察し申し上げます。別品は軽少ですけれど御祝いのお印しまでにお目にかけます。いずれ近日中参堂の上御立派な第二世にお目もじさせて頂きます。先は取敢ず御喜び申し上げます。敬白

男児出産を祝われて(上返事 ― 婦人用)

本日は態々(わざわざ)御慶びの御文と併せて結構なる御祝いの品下され誠に有りがとう存じました。何時に変らぬ濃(こまや)かな御心、謹んで御礼申し上げます。自分ではまだ子供のような気がいたしますのに、もうお母さんになってしまいました。誠に気の利かない母で子供の教育など出来ることやらと不安でなりません。何卒今後もよろしく御導き下さいませ。御蔭様で二人とも至って肥立宜しく最早(もはや)産褥(さんじょく)にあるのが退屈な位ですが尚自重いたしております。主人も大喜びで何くれとなくまめまめしく働いてくれますので助かります。皆様にどうぞよろしくお伝え下さいませ。右とりあえず御礼まで

女児の安産を祝う

拝啓 村田母上よりのお知らせにて、この十五日に御令室には女児御安産の由承りました。おめでとうございます。世にいう一姫二太郎の順序を踏まれたお喜び、やがて男の子さんのお祝いをもここに含めて干万お喜び申し上げます。お父さん似でもよし、お母さん似でもよし、いずれにしても御両親の粹(すい)を継がれるお方、史上に残る御麗人(れいじん)と存じます。お肥立ちお宜しいとのこと何よりです。そのうちお顔拝見に参上します。

粗品ですがほんのお祝のおしるしに別封お送りいたしました。家妻からも山々のお祝詞申し出でました。敬具

女見出産を祝われて(上返事)

拝復 秋冷の折からいよいよ御清勝何よりと御喜び申し上げます。

さてこの度直子出産について早速御鄭重な祝詞を忝うし且つ見事な御祝品を頂き誠に有りがたく厚く御礼申し上げます。俊子の肥立も順調ですし、直子もまた至って丈夫に育っております故、何とぞ御安心願います。直子に関する溢辞(溢はあふれる、みつの意、ほめすぎた言葉)は全くの見当違いです。論より証拠、赤ん坊でなく黒ん坊ですから。俊子の言によりますと、初産は想像以上に苦しいものの由で、今度の子もこれで留子とでも名づけたいと申した程で、仰せのような二太郎は考えものであります。もし生まれましても、一姫二鷹三茄子、物凄いのや真黒なのが生まれることでしょう。

いずれ拝眉万々でありますが、とりあえず書中御礼申し上げます。敬具

女児出産を祝う

おめでとうございます。お嬢ちゃまの由、御希望がかなってどんなにお嬉しいことでしょう。御両親にお似ましになってお美しいあかちゃんでいらっしゃいましょう。飛んでも行きたいのですが今はお祝いの言葉を山々申し上げるよりも、ゆっくり、ぐっすり眠らせて差上げることが第一と、わざともう数日御遠慮申し上げます。心ばかりのお祝いもの別送いたしました。ほんとうに心だけのものですが、溢れる喜びをお汲み下さいませ。御主人様と赤ちゃんによろしく。

出産祝の類句

出産祝を出す場合

(1)
○御安産のおたより、わがことのように嬉しく拝見いたしました
○家内中がわっと湧きかえり
○御吉報のおはがき拝見いたし
○御奥様にはめでたく女のお子さまを御安産あそばされました由(よし)
○御一統(とう)様にはさぞかし御満悦の御事とお祝い申上げます
○御令閨(れいけい)様にはこのたび御長男様をめでたく御分娩の由
○今朝ほど喜ばしい御安産のおしらせを頂きまして
○お坊ちゃまの御由(おんよし)にて、お祖母様はどんなにお喜びのことでございましょう
○お健やかに御肥立ちもおよろしき由にて何よりのことと存じます
○お望み通りのおお嬢さまにて
○御家門御繁栄の御基と
○まず御安産をお喜びいたします
○貴兄の御満悦いかばかりと
○承わりますれば奥さまには御安産で
○御二方(御母子)ともおさわりなく御安産の御こと

○お母さん似のさぞお可愛らしい御若子さまと拝します
○行末の御楽しみがさぞかしとお羨ましゅうございます

(2)
○いずれ祝意を表しに参上の心得にございますが、取敢えず右御祝詞まで
○何とぞこの上とも十分御養生第一にと祈りあげます
○まことに粗品軽少にございますが、心ばかりのお祝いのしるしお目にかけます
○お暑さ(お寒さ)きびしき折柄この上とも御自愛専一に
○お気長に十分御静養あそばしますようくれぐれも祈り上げます

出産祝の返事を書く場合

(1)
○何分初めてのこととて取紛れるまま御様子も申しあげず失礼いたしておりましたところ、早速御鄭重なる御祝詞、御祝物に接し
○早速御悦びに預り感謝の至りにございます
○御祝いの御厚志辱く(かたじけなく)拝受いたします

(2)
○案じましたほどの事もなく至極安産にて家族一同安堵いたしました
○その後経過頗る(すこぶる)良好で母子共に健全に肥立ちおりますれば何とぞ御休心(きゅうしん)下さいませ
○何分初産の事ですから何かと案じましたところ幸い血の気もなく
○家の中も何となく明るくなったようです
○両親も此頃は赤ん坊と笑い興じております

(3)
○まずは書中をもちまして御答礼申しあげなお皆々様へよろしくお伝え下さいませ
○いずれお伺いして御礼申しあげる筈(はず)にございますが、取敢えず書中にて失礼いたします
○なお妻よりもよろしく御礼申述べるようくれぐれも申しております

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