依頼の手紙の書き方について

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 ものごとを大に頼か場合に書く手紙のことだが、この依願にもいろいろな種類がある。人の好意に訴えてものごとを頼みこむ場合がある。こういう種類のものは、自分の力に及ばないことを人に依って果たそうとして頼むのであるから、手紙でなく、あいたいの時でも特に腰を低くして、言葉づかいも丁寧にしなければならない。頼む事柄がたとえ困難なことであっても、こちらの頼み方が丁寧で真剣であれば、相手は承知してくれる、引受けてくれる、それが人情というものである。手紙で頼む場合もこれと全く同じである。だから用語にも特別に注意し、どこまでもへりくだった態度で鄭重でなければならない。

 次に業務上とか商業の取引上などで相手にものを頼む場合の手紙もある。頼むということに変りはないのだから、これもやはり丁寧であるべきではあるが、ぞんざいでいいという訳はないのだが、この場合最も必要なのは依頼すべきことの内容を簡単にしてかつ明瞭に書くということである。

相手方が判断に苦しむようなわけのわからない文章を書いたり、牛のよだれのように、だらだらとながったらしい書き方をするなどは、何れも避けなければならない。

一、依頼の手紙はすべて相手に対して尽力や奔走を頼むのであるから、目上の者に対してはいうまでもなく、同輩や目下のものに対しても十分に礼をつくし、同情や好意に訴えるように書かなければならない。

二、どういう種類のものでも、依頼の手紙となれば、相手に対して依頼の目的、種類、範囲など必要な事柄を明瞭に書く必要がある。それが曖昧であったりすることは、相手に無用な労力や迷惑をかけたり、また場合によっては失礼になり、やがて相手の感情を害して全く失敗に終ってしまうようなことがある。

三、一度の依頼で駄目だった場合は、二度三度と依頼するのが先ず普通のやり方であるが、その二度目、三度目をあまり矢継ぎ早に出すのは考えものである。むしろ返事のくるのを十分に待って、いよいよ来ない場合に、婉曲に依頼を重ねるようにする。

これは社交上でも心得ておくべきことだが、あまりしげしげと催促がましい手紙を出すと、相手によっては感情を害してしまうこともあろうし、依頼することがらの内容によっては、だんだんこちらの足元を見すかされたり、弱味を見せたりすることもある。

結局、成り立つものも成り立たず、失敗に帰することが多い。

四、あまり懇意でない人に依頼の手紙を出す場合、また用件の性質によっては返信料を封入するとか、往復はがきにするとか、相手にいくらかの費用をかける場合は、その費用の弁償方法とか支出方法などを書き添えておくのが礼である。

調査の依頼などには、自分が持ち合せている参考事項などを提供する意味で知らした方がよい。また相手が面識のない人で、止むを得ず直接に手紙を書かなければならない場合には、他から紹介状をもらっておいて、それを同封するなり、その方法がとれない時は、手紙の中で自己紹介をやった方がいい。

五、縁談の世話を頼む手紙には、本人の年齢、学歴、性質、容貌、その他わかっていることをいつわらず飾らず、ありのままに書き、また希望の条件をも具体的に詳しく書く。

六、金銭の借用を依頼する手紙には、入用の理由と金額と、その返済の方法と時期とをはっきり書くことが大切である。借入金をする場合には、以上の要件は是非とも書かなければならない事柄である。(子供が親に金をねだったりする場合など借りるといっても、それは返えそうとしないものだから、こんなのは例外である。)

七、物品の借用には、相手の都合をよく考えて、相手が非常に大切にしているものとか、他人に貸すことを嫌うようなものは決して申出てはならない。大体先方が現在使用しているかいないかをよく聞き合わせた上で「お貸し下さい」と頼むことが大切である。

八、依頼の返事は諾、否いずれとも即座に出すようにしたいものである。諾 ― 承知ならば気持よく恩にきせるようなことをいわないで引受けるがいい。否 ― 断わるならばよく事情を説明して丁寧に、しかしきっぱりとその旨を返事しなければならない。いやいやながら引受けてあてにさせて置いて、最後に断わるのなどは先方の感情を害うばかりか、時によっては怨みを買うことさえある。

九、先方がこちらの依頼に応じてくれた時には、すぐにお礼の手紙を出すべきである。場合によってはお礼の品物を贈るのもいいではないか。

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