縁談を断る

娘の縁談を断る

 先日は久々にてお越し下さいましたのに、何の御愛想もなく失礼いたしました。

 その節御親切に御話し下さいました和子の縁談、まことにこの上もない良縁と存じますが、何分にもまだ短大を卒業したばかりで、何の仕込もございませんので、これから家事料理なども見習わせたいと存じている次第です。またかような未熟ものを差上げましては、却って先様へ御迷惑をおかけするばかりでございますから、折角ながら今回だけは御辞退申し上げとうございます。何卒先様へもよろしく御伝え下さいますようお願い申し上げます。先は右御辞退まで申し上げます。

敬具

嫁の世話を断る

 親切丁寧な手紙有がたく拝見致しました。過般来小生一身上について何かと御配慮をいただき感謝にたえません。小生も既に年輩に逹しましたので、妻帯のことを考えて見ないこともありませぬが、御存知の通りの一介のサラリーマン。「自分の口を凌ぐのさえやっとのところへ、妻を貰ってどうして扶養するか今少し生活を改善してからでなければ」と自問自答に始終している有様でございます。これは決して謙遜したお断りのための口上ではありません。真実の告白でございます。

 そんな訳で折角の御親切を無下にお断り致しますのも甚だ不本意でございますが、事情ご推察下さいまして、悪からず御容赦願い上げます。先は御返事まで。敬具

男性から縁談を断る

 手紙で失礼いたします。この間お会いいたしました際に申しあげようと思いましたが、つい言いそびれてしまいましたので、心ならずもお手紙いたします次第、何とぞ悪からずお許し下さいませ。

 大森樣の御紹介にて貴女と御交際を願うようになりまして、早3ヶ月が経過いたしました。その間まことに私の不調法で御不快をお掛けいたしましたことも多々あるかと存じますが、何分修養途上の者のこととて至らぬ点は平に御容赦下さいませ。

 そのようなことにつき、この頃深く考えるように成りまして、まだまだ一家を構えるには何の自信もないことがはっきり分り、この気持は大森樣へも申し上げたような次第にございます。これは私のわがままとでも申しましょうか、いやそれにいたしましても私のただいまの心境といたしましは、今お互いに深く知り合わない内にお別れした方が、将来のためによくはないかと存じ、まことに無躾な言い分で恐れ入りますが、そのようにお察し賜りたく、元の白紙へ還元させて頂きたいと存じます。

 このままお別れいたしましても、私の一生において貴女との御際の日は、ある思い出として永久に心底深く残ることと存じます。どうか気持を悪くなさらないよう、そしてこの失礼な手紙の次第に御寛容切にお願い申しあげます。

 では御機賺よろしく、御幸福をお祈りして止みません。敬具

女性から求婚を断る

 拝啓 10日付けのお手紙拝見いたしました。いつもの調子と違い、貴下の正面切ったお言葉に何と申しあげてよいか、いささかたじたじとなりました。お許し下さいこのようなわがままな失礼を申しあげまして。でも事実そうなんですから、わたしほんとうに困りました。何と御返事したらよいか、貴下の直情的なお気持、数ならぬ身に対しての御求婚には、それはそれとして嬉しく拝しますが、わたし達はほんとうに今までお友達としての範囲のおつき合いで、それ以外の何ものでもないことを申しあげたく存じます。わたしの態度にあるいは誤解を招くようなことがあったかも知れませんが、もしそうだとしたら、わたしは大きな反省と貴下の心を乱した罪を深く謝さなければなりません。貴下はどこまでもわたしには友達以上のものをお求めになってはいけません。ということは、わたしは貴下の良きフレンドでこそあれ、決してパートナーのケースに入れて頂くほどのものでないことを、深く自覚しているものでございますから。

 一寸した感情の動きで、ただひとすじに大事を 決定されるのはいかがと存じ、これは貴下のよき友として、切に申しあげたい点でございます。そして貴下のほんとうにかけがえのない人生の伴侶は、きっと貴下にふさわしい唯一の存在として、他に在ることを信じて疑いませず、またそれをのみ祈る気持でございます。

 どうぞ生意気な女とお叱りなく、今後とも今まで通りの交際お願い申しあげたく存じます。わたし達はほんとうに良き友として、その美しい双曲線を描きながら、同性の友に得られない有意義な真情を持ちつづけてゆきたいと存じます。かしこ

養子の世話を断る

 拝復 その後は意外の御無沙汰を致しまして申訳ありません。本日はまた御懇情溢れるばかりの御手紙を下さいまして深く感激いたしました数ならぬ小生のようなものまでも人並みに思し召し下さい、養子の御世話まで下さいましたことは、ただただ感謝の外はありません。しかも身にあまる好希件、またと得がたい良縁と存じますので、ありがたくお受け致さればならぬのでございますが、就職後日も浅く一身の生活を支えることすら困難な実情にございますので、ここ数年辛抱致しとうございます。折角の御親切を無にするようで恐縮に堪えませんが、所詮は時期尚早とあきらめまして御辞退申し上げとう存じます。そのような次第、悪しからず御推察下さいまして、よろしく御取計らい下さいますようお願い申し上げます。先は御礼かたがた御返事まで申し上げます。敬具

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする